インパクトファクターの調べ方を知って、学術雑誌の事情を観察しませんか【Impact factor】

impactポスドク生活

私たち研究者に、何かとつきまとうインパクトファクターですが、
研究者ではない方々では、耳なじみがない言葉かもしれません。




ブラックペアンをご覧になった方は、ご存じかもしれませんね。
インパクトファクターを知って、科学分野外のあなたも、
客観的に科学論文に触れてみませんか。




原著論文には、これからの可能性が秘められた研究がたくさん眠っていますので、
科学論文を読むのは楽しいですよ。




それではインパクトファクターについて、
分野外の方にもイメージしやすいように、
解説していきます。


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インパクトファクター(Impact factor)とは

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簡単に表すと、
インパクトファクターは、
雑誌に掲載された論文がどれだけ引用されたかの指標です。


一つ一つの学術論文の良し悪しを判断するものではありません
例えば、Twitterを行っている人であるならイメージできると思います。




たとえば、ブログ論についてつぶやいている人がいて、
引用ツイートを1000もらいました。




一方で、最近のラグビー日本代表の試合についてつぶやいて、
引用ツイートを5000もらった人がいます。




どっちの人が、優れていますか?



わかりませんよね。
内容や、読んでいる層が違いますし、
そもそも興味がある人数も違いますよね。




科学論文も同様です。
生物分野や工学分野でも大きく違います。


生物の中でも、医学分野は関わる人が多いので、
自然とインパクトファクターが高くなります。


それ以外の分野は、関わる人の数が少なくなるので、
インパクトファクターが上がりにくくなります。


数値化されているので、単純に比較に使われやすいのですが、
分野をまたいだ比較には、向いていないことを
頭の片隅に置いておいてください。


同じ分野の中ではある程度の比較材料にはなりますが、
その中でも注目を浴びやすいテーマかどうかも影響します。


つまりインパクトファクターは論文の質を、絶対的に表すものではないです。




しかしながら、
インパクトファクターは簡単に調べることができるため、
評価に使われやすいというのが現実。


そのため、高いインパクトファクターの雑誌に論文を投稿しないといけない
というジレンマに、研究者はさらされています。


インパクトファクター (Impact factor)計算法

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基本的には、
インパクトファクターは簡単な計算式で導かれます




具体的に示します。
2019年の、ある雑誌のインパクトファクター計算は、
2017年と2018年にその雑誌が掲載したすべての論文のなかで、
2017年と2018年に引用された論文はどれくらいかという計算です。


インパクトファクターの例

仮に、2017年に450報、2018年に550報の論文が、
雑誌Aに掲載されたとします。




その雑誌Aで、2017年に掲載された論文が、4500回引用され、
2018年に掲載された論文が、5500回引用されたとします。




計算式は、
4500 + 5500)/(450+550) = 10
となり、2019年のインパクトファクターは10となります。




過去2年間の論文数や、引用数が計算に用いられますが、
2年間は研究分野によっては、論文を仕上げるまでに短いことが多いです。


そのため時間がかかる研究を行っている分野では、
インパクトファクターによる評価が非常に困難です。




そのため、基準になる年数を伸ばし、
5年間で計算する方法もありますが、
論文数が出やすい分野と出にくい分野で、
差が縮まることはないので、解決策としては不十分です。




様々な方法で、インパクトファクターに変わる論文の評価法が提案されていますが、
よりよい評価方法が定まるかは、現時点ではわかりません。


インパクトファクター(Impact factor)の調べ方、検索法

search

インパクトファクターは、正式にはClarivate analytics社が、
Journal Citation reportsとして発表している指標なので、
Clarivate analytics社のwebサイトから検索することになります。


詳細な検索法は、公式PDFが詳しいですので、
そちらをご参考ください。


大学や研究機関の在籍している方は、
所属機関がこのサービスに契約しているので、
無料で調べることができます。


研究機関に所属がない方は、
インパクトファクターに類似した指標である、
SCImago Journal Rankが無料ですので、便利です


そのサイトから知ることができる、
SJRというスコアがインパクトファクターに類似したものになります。




使い方は簡単で、
まずはwebサイトにアクセスすると次のような画面になります。

start-page




真ん中の、検索窓に、調べたい論文の名前を入れてください。
例えば、Natureと打ち込みます。

2nd-step



クリックして、次に進みます。
次のような画面になるので、ここではNatureを選択します。




そうすると次のように、色々なデータが見れますが、
SJRという右上の図を見てください。




これが、インパクトファクターに類似した指標です。
計算方法は少し異なり、権威のある雑誌から引用されると、
より数値にプラスの影響があるように加味されています。




そのため、インパクトファクターの値とは異なることが多いです。

インパクトファクター(Impact factor)まとめ

本記事では、簡単にインパクトファクターの調べ方について解説しました。




繰り返しになりますが、
インパクトファクターは雑誌がどれだけ引用されたかを示す指標で、
個々の論文の評価ではないことを覚えておいてください。


分野や研究の流行り、研究人口によって影響を受けやすいので、
あくまでも参考程度の指標です。


ビジネス向きSNSであるLinkedInを使っている方も多いと思いますが、
つながり申請の時に、どんな論文を書いているのか調べることもありますよね。
分野が違うと、論文の内容で判断することが難しいことも多いので、
インパクトファクターがある一定の基準に使いやすいことは否定できません。


アカデミックの場でも、インパクトファクターが評価基準として使われる場合がまだまだ根強いので、ポスドクはインパクトファクターに縛られてしまうことが多いです。


  • 創造的な研究と、インパクトファクターは必ずしも一致しない
  • 高いインパクトファクターの雑誌が必ずしも重大な発見を載せているわけではない


ということだけ、研究に関わらないひとにも知っていただけると、
ありがたいです。




本記事が、少しでも参考になればうれしいです。
今日もありがとうございました。





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