ポスドクが長くなってきて、この後どうしようと悩んでいませんか?
私は、長いことアメリカでポスドク生活を送っていましたが、企業で研究者としての一歩を踏み出しました。
ポスドク後のキャリアに悩むあなたの参考になれば幸いです。
そもそも海外ポスドク後はアカデミアに進む予定だった
もともと海外でポスドクをすることにした理由は、大きな論文を書いて、日本でアカデミアのポジションをとること。まさにアカデミア志向の典型。
ただし、行き先のラボ方針がいまいちわかっていなかったのが結果的に足を引っ張る羽目になりました。
大きなジャーナルしか狙わないラボでした。
これが自分事となってわかるのは、論文を投稿する段階。
同じようの状況になる人も多いと思うので、これから海外でポスドク予定の場合は、ラボのことをしっかり確認することをおすすめします。
一発狙いで来た私と一流紙狙いのラボは、ゴールは似ている物の、相性が良くないので、シンプルに論文が出せないという状況になります。
論文がでないと、アカデミアにアプライさせできないという悪循環。なかなか精神的にもつらくなってきます。
ポスドクを終了し、企業へ就職することを考えた理由
そんなポスドク生活を過ごしている中で起こった世界的な感染流行が、1つ水を差したように考えるきっかけになりました。
リモートワーク中心でも論文にまとめることができなければ、これから論文にまとまることはない。
一流紙でなくても良い。そんな覚悟を持ち、ただ、終わらせることに向き合いました。
しかし、結果は変わらず。ラボの方針を変えるということはひどく難しいことを改めて実感しました。
そこで考えたのは企業への就職でした。いつも頭の片すみにはあったものの、決断できなかったこと。アカデミアを去ること。
研究者になりたくて、研究の道を歩んだのが本来の目的。
なぜアカデミアの研究者でなくてはならないのか。
企業の研究者とアカデミアの研究者がどれだけ違うのか、自分で経験してみる価値はあるのではないか。
腹を決め、企業就職への道に進み始めることにしました。
海外ポスドクから企業就職への道のり
まずはどこで働くか。
日本ではなく、選択肢が多いアメリカでの就職をすることにしました。
そうなると必要なのはLinkedInをきちんと作ること。
LinkedInを作りながら、就職へ腹がすわっていったことも確かです。
Linkedを毎日見ながら、出てくるJobで、自分に合うポジションにアプライしながら、ポスドク時代の同僚を頼り、レジュメをハイヤリングマネージャーに渡してもらう日々。
ほとんどは最初の書類のスクリーニングでおちました。
連絡がないことも多いです。
直接レジュメを渡してもらえた場合は、高確率でハイヤリングマネージャーとの電話インタビューになりますが、そこで終了。
このような日々をポスドクをしながら、進め、半年後に、スタートアップのバイオテックでの採用が決まりました。
海外ポスドクからアメリカ企業へ就職した後に気が付いた事
スタートアップとは言え、企業での研究は初めてなので、どれほど違うのか、不安があったのは言うまでもありません。
毎週のミーティング、進行状況の説明、ベンダーとのミーティング。実験のセットアップ、解析。
あれ、なにか違うだろうか。
確かにゴールは違いました。
論文をゴールにしていない点。
それでもバイオ系でやっていることは人の健康に寄与すること。
本質は変わりません。
業務内容も大きな違いはありませんでした。ミーティングに実験。
スタートアップだからかもしれませんが、アカデミアと企業での研究に大きな違いを感じませんでした。
ポスドク後はアカデミアか民間か
多くのポスドクが悩むであろう、2択。アカデミアか企業か。
私が考えてきたよりも大きな2択ではないように感じました。
もちろん大学の教授になりたいという場合は、アカデミアを選ぶ以外にないかもしれません。ただ、研究をしたいからという理由でポスドクをしている場合も少なくないはずです。
そんな場合は、企業でもしっかり研究できるなら、キャリアの選択肢に十分入るのではないでしょうか。
さらにもしどうしても独立して研究したいなら、起業もありだということです。
バイオ起業で、自分のやりたい研究を行い、創薬などにつなげていく。
こんな選択肢だってあることに気が付きました。
海外ポスドク後の私のキャリアパスまとめ
今思うことは、「海外ポスドク後のキャリアに迷ったら、ただ一歩を踏み出す」。
これに尽きます。
私はながいこと悩んでいました。というよりも、アカデミアで生きる道をいかに獲得するかを追求していた気がします。
視野がどんどんとせばまって、この道しかないと思っていったのかもしれません。
もしあなたの考えがその時の私のように硬直してしまっているなら、深く考えすぎないで企業での研究の一歩を踏み出してみることもおすすめしたいです。
研究が十分にできる場所で、研究力を磨いていく。もし、それでもアカデミアでしかできないことがあると気が付いたなら、そこからアカデミアに行く方法を必死に考えれば良いのです。
現状を変えるだけで、変化が増えます。変化は怖いですが、なんか楽しいものです。長いポスドク生活を過ごしてこれているあなたなら、何も問題ありません。
海外ポスドクのその後に不安を感じているあなたに、本記事がなにか一歩を踏み出すきっかけになればうれしく思います。
研究者はどこだって研究できます。
コメント
海外で企業就職すごいですね。
海外ポスドクではどのようにスキルアップなされましたか。
コメントありがとうございます。
海外ポスドク中は、それまでの専門外のことを経験することを意識していましたが、
これといって特別なスキルアップは思いあたりません。
ただ、いろいろな国の研究者たちと働くことに慣れるということが、特に役立っている気がします。
具体的に気になることがありましたら、私の経験をシェアできるかもしれませんので、お気軽にお知らせください。