人工甘味料で太る?研究データを交えて解説します

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ダイエットで人工甘味料が有名。
カロリーゼロなのに人工甘味料で太ると耳にする。
実際に太るのか?

私は、生命科学者として、現役で研究に関わっています。現役研究者の目線で、人工甘味料はほんとうに太る?のか解説していきます。


現在、2020年の時点の結論ですが、人工甘味料が原因で、太るという直接的な根拠はありません。


どのような報告があり、太ると言われているのかお伝えしたうえで、どのように考えると良いか解説します。



ご自身でも考えて、判断されることができるようになることを目指しませんか?

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人工甘味料はカロリーゼロでも完全に0ではないから太る?

カロリーゼロの食品は、カロリーが0ではありません。



食品では100mlか100グラムあたり5キロカロリー未満ならカロリーゼロと表示できます(消費者庁ウェブサイト食品表示)。




仮に100mLあたり4キロカロリーの飲み物なら、カロリーゼロと表記できます。



たくさんカロリーゼロ食品を摂取すると、ある程度のカロリーを摂取していることになりますよね。


ただ、相当な量を摂取しなければ、カロリーを取り過ぎることはないので、太るとは考えにくいです。

では、他の報告を見ていきましょう。

じゃあなぜ人工甘味料で太ると言われるのか?

インスリンを上昇させる報告があるから?

ご飯やパンなど炭水化物が摂取されると、分解され、ブドウ糖として吸収されて、血糖値があがります。



血糖値が増えると、すい臓からインスリンと呼ばれるホルモンが出ます。



インスリンの働きで、ブドウ糖は細胞に取り込まれ、エネルギーのもとになります。



過剰にブドウ糖が摂取されると、脂肪細胞に取り込まれ、脂肪として蓄えられるます。


ブドウ糖とは違って、人工甘味料は、血糖値を上昇させないため、インスリンがでません。
Steinert, R., Frey, F., Töpfer, A., Drewe, J., & Beglinger, C. (2011). British Journal of Nutrition, 105(9), 1320-1328.




よく他のサイトや記事で取り上げられる、ボストン大学のBarbara Corkey博士の論文で、人工甘味料に反応して、インスリン分泌が上昇することが、人工甘味料の良くない点として記されています。



実際に、Barbara Corkey博士の論文のFigure4Cで、データが示されていますが、これは人工甘味料単独で行った実験ではなく、ブドウ糖と一緒に人工甘味料でラットの膵臓の細胞を刺激した実験で、インスリン分泌を見たものです。



この結果を見ると、人工甘味料があることによりインスリン分泌への明確な差は確認できないため、多くサイトでデータの解釈が正確ではない、または、どこかのサイトで記載されて解釈をそのまま転載しているでしょう。



最近の研究データでは人工甘味料単独では、インスリン分泌を促すことは一般的ではありませんね。



それでは他の報告についても見ていきましょう。

人工甘味料が腸内細菌を乱すから太る?

人工甘味料を食べると腸内細菌が変わるという研究報告が2014年に出ています。



マウスに11週間人工甘味料を食べさせた結果、腸内細菌が変わり、 結果的に、血糖値に影響を与えたという報告です。
Nature 514, 181–186(2014).



しかし、同様のことが人でも見られるのかは他の研究でも詳しく検討されていません。



人工甘味料が腸内細菌に与える影響は、否定できませんが、最終的に判断するにはこれからまだ研究が必要な段階です。
Nature 514, 176–177 (2014).

人工甘味料が太るという報告が多いのはなぜ?

ネガティブな情報ほど広まりやすいという法則があります。


そのため、研究で、ネガティブな結果が報告されると、すぐに広まります。


科学はある一面を切り取って、仮説を検証します。



今回の場合なら、「人工甘味料は太るのか」という仮説のもとに、研究が行われていきます。



ひとつの研究で、人工甘味料がインスリンの機能に影響を与えるという結果を報告した場合でも、「人工甘味料がインスリンに影響を与えたえ、肥満になるという真理」を示しているわけではありません。



たとえば、
人工甘味料入りのソフトドリンクを飲むグループは、100%ジュースを飲むグループと比べてⅡ型糖尿病になりやすいという報告があります。



このまま結果を考えると、人工甘味料が良くないと思ってしまいますが、このような研究では、被験者の普段の食事がコントロールされていないことがほとんどです。



つまり、人工甘味料入りのソフトドリンクを飲むグループが、そもそも普段の食事が偏っていることだって考えられるわけです。



このように、研究は1つの報告から結論がでるものではないので、たくさんの視点でいろいろな研究が行われたあと、もっともらしい結論が導かれます。




多くの食品研究では、絶対的な結論がでないことがおおいので、
最終的な判断は、消費する人が考える必要があります。



そのため個人で、人工甘味料は良いのか、悪いのか、
いろいろな研究の報告をみて、
考えることができるようになることが理想ですね。


人工甘味料は太るのか?のまとめ

人工甘味料を摂取すると太るのかということに、結論は出ていません。



なんでも人工だから良くないという風に考えられる傾向もありますので、
風潮に惑わされず、良いのか悪いのかは、
ご自身で判断できるように、
考えることをおすすめします。



私は、現時点では人工甘味料で太るとは言い切れない
という結論を持っていますので、
人工甘味料を避けるように
食べ物を選ぶことはしていません。



本記事では、
いくつかの研究報告をあわせてご紹介しました。



あなたの人工甘味料に対する考え方に
何か参考になればと思います。

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